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ロックで和風⁉一二三の「猛独が襲う」の歌詞を考察

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皆様、初めまして、ボカロ愛好会会員とろひです。今回から、ボカロ作品の紹介記事を書かせていただけることになりました。

ということで、初ブログ投稿で紹介する作品は一二三さん作「猛独が襲う」です。

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新潟VOCALOID愛好会は新潟大学の学生有志を中心に構成された非公認サークルです。

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猛独が襲う/一二三

○ Music & Lyrics : 一二三 Twitter : https://twitter.com/hihumi_v
○ Illustration : 休符 Twitter : https://twitter.com/kyu_fu
○ Support Guitar : じゅみ Twitter : https://twitter.com/junjun_mimi03


この作品のおすすめポイントは、

1.ロックミュージックの中に和楽器を取り入れた和風ロックなメロディー
2.初音ミクの声を荒くしているから、伸ばして歌っている部分ががなりやビブラートのように聞こえる
3.少し低いボーカルと歌を邪魔しない演奏で歌詞がちゃんと聞こえることでストレートな歌詞がより心に響いてくる
4.ストレートで、深く考えさせられ、嚙みしめるほどに味が出てくる歌詞

の以上4つです。この中でも特に注目していただきたいのは、4番目の歌詞の内容です。自分なりの歌詞の内容をかみ砕いたものを書かせていただきます。

個人的な歌詞の解釈

長くなるので、次の見出しまで飛ばしていただいても結構です。

適当に生きても息は続く 誰かに寄りかかり生きている
支えが消えても息が続く 次の拠り所に身を寄せる

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

努力せずに、今あるつながりに支えられ依存して、今できているつながりが消えても、新たなつなが りに寄生して生きている。

使い捨てじみた繋がりとか その場限りの関係だとか
何かが違うと嘆いてみて 何も分からずにいるんだって

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

寄生するだけの一時的なつながりへの違和感は感じても、違和感の正体は何もわからないでいる。

誰が何と言ったって 僕はずっとこんなんで

切れた縁(えにし)の端に目を伏せたの

寂しがって泣いたって 誰も知らないんだって

また猛独が襲う

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

誰かがそんな関係ではダメだって諭しても何も変えないで、失ったつながりから目をそらして、寂しいって泣いたって誰にも気づいてはもらえなくて、孤独感に襲われる。

誰かの気持ちを無碍にしては 誰かに縋りながら生きてる

その度とぐろを巻く罰がさ 胸を締め付けて牙を立てる

気が付かぬ間に独が回る 心だけ気付いて寂しがる

痺れる様な苦しみの中で 一人の無力に沈んだんだ

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

他者の言いなりになりながら、他者に依存して、だらだらと一緒にいる。そんなつながりを作るたびに、依存して使いつぶすことへの罪悪感が胸を締め付けてくる。頭で理解しない間に、孤独になって、心だけは気づいて寂しがっている。少しずつ自由が奪われていくような苦しみから抜け出せずに沈んていく。

誰に何と言ったって もう戻れないんだって

「面倒だ」なんて手放した事さえ

例え何度泣いたって 届きはしないんだって

心にひびが走る

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

何を言っても、失われたつながりは戻ってこなくて、面倒だから手放したことですら後悔して泣いたって、誰の耳にも届かない。孤独に耐えられずに心が引き裂ける

壊れぬ様に 壊さぬ様に 未熟な手で守ってたのにね

些細な感情で力んじゃったりして 握り潰していたんだろう

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

関係が壊れないように、失わないように、依存したままの私は守ってきたのに、感情の小さな変化によって、守ろうとしていたのに、関係を壊してしまった

膝を抱いて泣いたって 変わりはしないんだって

静かな部屋に響く嗚咽さえも

夜が飲み込んだって 月が照らしたって

消えない 消えない 消えない事実だけ見て

癒えない 言えない隠していた声を僕を

猛独が襲う

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

一人で悲しんでいても、自分が変わることも、失ったつながりが取り戻せることもなくて、夜がその暗闇の中に隠しても、月がスポットライトのように照らしたとしても、孤独でいるという事実も静かな部屋で一人むせび泣いているときの嗚咽が響いていることですら消えなくて、言うことができずに隠していた気持ちを、それを持つ自分を、孤独感が襲い、癒えることのない猛毒がこの身を襲う。

と長くなってしまったのですが、ワンフレーズずつ自分なりの解釈を書かせていただきました。
実はこの解釈は音を聞く前に歌詞だけを見て考えた解釈なんです。初めて読んだ時の感想としては「学校の中だけの浅いつながりしか作れなくて悩んでいる子の歌」なのかと思っていました。
でも、実際に、この作品を聴いてみたら、この解釈だと何か違和感を感じたんです。この解釈は何か大事なものを見落としているんじゃないかなっていう拭い切れない気持ち悪さがこの作品を聴くたびに強まっていって、その違和感の正体は、

この子は「本物」のつながりを求めてずっと孤独感を感じていた

こと何じゃないかって思ったんですよ。

現在の自分なりの歌詞の解釈

適当に生きても息は続く 誰かに寄りかかり生きている

支えが消えても息が続く 次の拠り所に身を寄せる

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

努力せずに、今あるつながりに支えられ依存して、今できているつながりが消えても、新たなつながりに寄生して生きている。

使い捨てじみた繋がりとか その場限りの関係だとか

何かが違うと嘆いてみて 何も分からずにいるんだって

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

寄生するだけの一時的なつながりとは根本的に違う「本物」のつながりがあるはずだけど、どんなものかわからない。

誰が何と言ったって 僕はずっとこんなんで

切れた縁(えにし)の端に目を伏せたの

寂しがって泣いたって 誰も知らないんだって

また猛独が襲う

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

一時的なつながりの延長にしかつながりはないといわれたって、そうじゃないあるはずだと、探している自分は何も変わらずに、「本物」はさっきまであったはずのつながりじゃないかと心惹かれながらも、あれは「偽物」だと次のつながりに意識をそらして、それで、誰にもこの悩みは分かってもらえなくて泣いている。そうしてまた、新たなつながりにも孤独感を感じている。

誰かの気持ちを無碍にしては 誰かに縋りながら生きてる

その度とぐろを巻く罰がさ 胸を締め付けて牙を立てる

気が付かぬ間に独が回る 心だけ気付いて寂しがる

痺れる様な苦しみの中で 一人の無力に沈んだんだ

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

他者の自由にさせて、自由にさせた他者に依存して、楽だからただ漠然と一緒にいる「本物」を探していない自分への罰として、「偽物」を手放せと心が私を締め付ける。そうして「偽物」の中で気づかぬうちに、孤独になっていって、そのことに心だけは気づいている。「偽物」の魅力によってそこから抜け出せずより深く「偽物」のつながりに沈んでいく。

誰に何と言ったって もう戻れないんだって

「面倒だ」なんて手放した事さえ

例え何度泣いたって 届きはしないんだって

心にひびが走る

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

何を言っても「偽物」から抜け出せない、「本物」を探すのは「面倒だ」ってあきらめたことですら、心だけは寂しさで泣いている。そんな涙はだれにも届かない。心は「本物」を求めて、頭は「偽物」の快楽におぼれて、心と身体が二つに分かれる。

壊れぬ様に 壊さぬ様に 未熟な手で守ってたのにね

些細な感情で力んじゃったりして 握り潰していたんだろう

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

やっぱり「本物」はあきらめきれなくて、「偽物」の中にあるんじゃないかと「偽物」の中の「本物」が失われないように未熟な私は守ってきたのに、「偽物」「本物」に近づけようと、力んじゃて失ってしまった。

膝を抱いて泣いたって 変わりはしないんだって

静かな部屋に響く嗚咽さえも

夜が飲み込んだって 月が照らしたって

消えない 消えない 消えない事実だけ見て

癒えない 言えない隠していた声を僕を

猛独が襲う

出典:https://piapro.jp/t/Fh1h

一人で「本物」がないと泣いてたら、同じ考えの人が見つかって、「偽物」「本物」になるはずも、「本物」がみつかるはずもなく、一人静かな部屋でむせび泣いて響く嗚咽ですら夜が飲み込んで、悩みを月が照らして見えにくくしたって、「本物」を探して一人という事実は消えなくて、「偽物」の快楽から脱却することはできず、一人で「本物」を探しているとは言えずに隠していると「偽物」の快楽という猛毒は襲ってくるけれど、孤独なまま、「本物」を探してる。

で、こちらの解釈の方が、ミクが悲痛に、けれど、力強く独白しているという私の持つこの作品のイメージにピッタリなんです。
最初の解釈では、ミクは「浅いつながりしかない自分を卑下している」という感想を抱きました。
しかし、こちらの解釈では
一緒の時間や気持ちを共有できて、いつまでも関係が続いて、離れていても心のどこかでつながっている、「本物」のつながりけれど、周りは「偽物」のような、一時的で互いに利用しあっているつながりだけ、そこからの脱却を一人で目指している。というような孤高の狼のような力強さが秘められているという感想を抱いています。

このように、歌詞だけを見た時と作品を聞いた時で、自分が抱く作品へのイメージが変わることが一二三さんの最大の魅力だと考えています。なのでぜひ皆様にも一二三さんの他の楽曲を聞く際は、まず歌詞を見て、その後に作品を聞いていただきたいです。そうすることで一つの作品で二度楽しめると思います。

最後に

皆様は、歌詞を見て、曲を聴いてどんな感想を持たれたでしょうか。一二三さんの作品はすべて、素直な歌詞の言い回しと魅力のある演奏とが夢中にさせてくれること間違いなしなのでぜひこの作品だけでなくほかの作品もお聞きください。

とろひ
とろひ

最後の最後に、現在私たち、新潟VOCALOID愛好会は新たなメンバーを募集しています。このブログを読み、興味を持たれた方はぜひ一度ご連絡ください。

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