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ボカロファンメイドライブって何?分からなかったので制作者の人にインタビューしてみた

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この記事は、ボカロリスナー presents Advent Calendar 2024の11日目の記事です。

ボカロリスナーアドカレには過去3年「ボカロを知らない人目線のボカロ」をテーマにした記事で参加しています。

さて、一口に「ボカロ好き」と言ってもその楽しみ方は人それぞれです。
曲をたくさん聴く人、ボカロキャラを愛でる人、曲を作る人、ボカロクイズを楽しむ人、DJイベントに参加する人……。

広い括りではボカロジャンルと言えますが、他の界隈だと知らないことも多いと思います。

そこで今回は私もあまり知らない界隈、「ボカロファンメイドライブ」について知ろう!ということで、ファンメイドライブを制作している方にインタビューをしてみました。

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井上春

春です。
ボカロ曲を投稿したのでボカロPを名乗ることができます。

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MAGICA高崎の制作者の方にインタビュー

今回お話を伺ったのはボカロファンメイドライブ「MAGICA高崎」を制作しているお二人です。

あめりんごさん

あめりんごさん
MAGICA高崎主催。
ボカロライブとの出会いは2016年の『高田夜サクラミクライブ!』。同時にマジカルミライの存在も知り、DVDを集めるようになった。

Bさん

Bさん
MAGICA高崎制作。
マジカルミライは2022年に初参加し、それ以降の公式ライブは全て参加している。

MAGICA高崎は2024年11月に高崎経済大学の学園祭で第1回の公演が行われた、まだ始まったばかりのファンメイドライブです。
初公演を終え2025年3月に向け何やら準備をしているようで……?

さっそく色々聞いていきましょう!

ファンメイドライブとは?ボカロライブとスクリーンの歴史

井上春(以降表記なし):まずお聞きしたいんですが、ボカロファンメイドライブって何なんですか?

あめりんご(以降あめりんごさん):ボカロファンが作っているボカロのライブですね。

透過スクリーンを使ってキャラクターの立体映像を映して……っていうイメージがありますが、定義としてはそういうものということで良いんでしょうか。

ボカロライブの例

あめりんごさん:確かに透過スクリーンを使ったライブが多いですけど、必ずしもそうである必要はないですね。

B(以降Bさん):去年話題になったボカロ紅白歌合戦はオンラインですしね。あれもファンメイドライブです。他にはLEDスクリーンを使っている団体もあったりします。

ボカロのライブとして有名なものはクリプトンが毎年開催しているマジカルミライがありますが、ファンメイドはマジミラっぽいことをしようとしてるんですかね?

あめりんごさん:公式ライブはマジミラが主流なので、それをお手本としやすいというのはありますね。
ただボカロライブの最初はマジミラではなくて……

Bさん:透過スクリーンにミクの3D映像を投影するライブの初登場は2009年の『ミクFES(ミクフェス)’09(夏)』だと思います。

マジミラは2013年からなので、それより前があるんですね。

Bさん:他にも2011年~2013年には『初音ミクライブパーティー(ミクパ♪)』というのもありました。
ちなみに初音ミクのライブ出演としては2009年のアニサマが先ですが、この時は透過スクリーンではないですね。
初音ミク単独のライブかつ透過スクリーンを使っているのはミクフェスが初めてです。

なるほどー。
ファンメイドのライブはいつ頃始まったんでしょう?

あめりんごさんポリッドスクリーンが登場したのが2013年なので、そのぐらい……?

ポリッドスクリーンというのは?

あめりんごさん:ファンメイドライブでよく使われている透過スクリーンです。
透明なスクリーンに黒背景の3D映像をプロジェクターで投影すると、黒い部分は映らないので立体的に見えるという仕組みです。

Bさん:公式ライブで使われている透過スクリーンはディラッドスクリーンというものなのですが、ディラッドは高いし、今となっては売っているところももう無いんです。
ポリッドスクリーンで使われている農ポリ(農業用ポリエチレンフィルム)は安価で手に入りやすいのが画期的で使われ始めました。

農業のビニールハウスで使われてる資材なんですね!

あめりんごさん:ファンメイドライブの登場で言うと、少なくとも2015年には新潟の長岡や高田でやっていました。
マジミラの企画展でそれらのイベントが取り上げられていた覚えがあります。

MMDや動画……どんな作業をする?

ファンメイドライブを開催するにはどういった作業が必要なんでしょうか?

あめりんごさん:まず制作する人を集めて、セトリを決めて、広報して、機材をレンタルや購入で調達して……。
制作的なところでいうとMMDのモーション修正や動画作成があります。
あとは当日の会場設営や、照明や音響の操作などですね。

MMDのモデルやモーションは配布されているものを使うことが多いようですよね。
そうすると「モーション修正」って何をするんですか?

Bさん:例えばミクのツインテールが荒ぶったりするので、それを直します。
髪が腕を貫通するのを、腕を髪の前にしたり後ろにずらしたり、あるいは場合によってはわざとすり抜けるようにしたりとか。
髪とか服はモーションで指定されてるわけじゃなくて物理演算で勝手に動いてるんです。物理演算の都合上、仮に同じモデルで同じモーションだからといって綺麗に動くとは限らないんですよね。

あめりんごさん:そうやって動かないはずの部分を動かすように制御する他には、風を吹かすっていう直し方もありますね。
そのままだとパンツが見えてしまうモーションの時に、上から風を吹かせてスカートを固定したり。もちろんスパッツを履かせたり衣装で調整することもありますが。

Bさん:他に修正する点としては「画面内に収める」というのもあります。
ライブではスクリーンや会場の幅の都合で動ける範囲が限られていますが、動画だとカメラが移動すれば問題ないので、配布されているモーションは必ずしもスクリーンの範囲で収まっているわけではありません。
なのでムーンウォークのように足を滑らせることで、スクリーンからはみ出さずに動くようにします。

あめりんごさん:公式のライブでもムーンウォーク状態にしていることはありますね。

動画の演出はメインスクリーンには入れない

MMDが完成した後の「動画」はどのような作業をするのでしょうか?

あめりんごさん:歌詞を入れたり、曲に合わせた演出を入れたりします。特に入退場の演出ですね。

MAGICA高崎では別画面に歌詞を表示していますよね。あれはよくある方法なんですか?

別画面に歌詞が表示されている

あめりんごさん:よくあると思います。マジミラもそうですし、人間のライブでもありますよね。

メインのスクリーンの方には歌詞を入れないんですか?

Bさん:そっちは画面というよりもミクさんのいる場所なので。
団体によりますが、ミクの実在を重視している場合は演出などを一切入れないこともあります。

あめりんごさん:MAGICA高崎でも入退場以外の演出は入れないようにしています。

その他の作業や当日の動き

動画の他にはどんな作業がありますか?

Bさん:音響や照明ですかね。
音響については、会場の音響に合わせた調整をしたり、曲によってばらつきがある音量や音質を揃える作業をします。
照明は事前に映像に合わせてプログラミングしておくことも、当日その場でスイッチすることもあります。
このへんは普通のライブハウスのライブと変わらないですね。

動画も照明も作りきって1本にまとめたら、当日は動画と照明のスタートボタンを同時に押すだけって感じですか?

Bさん:最近はファンメイドライブ用に映像と音と照明を同期させるシステムもあるので「スタートボタンを同時に押す」って作業すら不要ですね。
あと動画については、1本にまとめることもありますけど1曲ずつ別のファイルにしておくこともあります。

あめりんごさん:曲ごとに区切ってあるとお客さんの反応に合わせて曲の間の時間を調整できるんです。
めちゃくちゃ盛り上がってたら、それをぶった切らないように余韻を持たせてから次に行ったりとか。

学園祭での開催が多い?どういう人が制作してるの?

MAGICA高崎は11月に高崎経済大学の学園祭で開催されましたが、ファンメイドライブは学園祭で開催されることが多いんですか?

あめりんごさん:学生が主催だと必然的に学園祭でやることが多くなりますね。

ファンメイドライブは学生がサークルや部活動として制作することが多いんですか?

あめりんごさん:いや、そういうこともなくて本当に団体によって色々ですね。
規模感も、高校生が学校の機材を使って学園祭でやるのもありますし、大きな会場を借りて開催されるものもあります。

会場を借りて開催されている例

大きなライブもあるんですね!

あめりんごさん:去年の『高田夜サクラミクライブ!』は整理券1000枚が配り終えたって言ってたので1000人以上来場してますね。

1000人!それはボカロファンがそんなにいるってことですか?

Bさん:高田はボカロファン以外に地元の人たちを呼んでるっていうのが強いですね。地元の小学生とか。

あめりんごさん:他のライブだと「ファンメイドライブオタク」みたいな人が色んなライブ見に行ってたりとか笑

そういえば長岡も高田も新潟ですよね。新潟、ファンメイドライブに謎に強いですけど、なんでですかね?

Bさん:謎ですね笑

あめりんごさん:僕新潟に住んでたことがあるんですけど、県民性としてオタクコンテンツに抵抗がない人が多い傾向はある気がします。
漫画とかアニメとかサブカル系の趣味を持っている人が多くて、そうなるとおのずとライブを作りたい人もいるのかなと思います。

新潟は「マンガ・アニメのまち」を標榜してるぐらいですしね。

あめりんごさん:あとは人が多くいる東京や大阪もファンメイドライブが多いですね。

作る側にまわったきっかけ

ボカロライブを見る側としては昔から楽しまれていたとのことですが、ファンメイドライブを作る側になろうと思ったきっかけはあるんですか?

あめりんごさん:去年大学1年生の頃に学園祭で模擬店を出すことになったんですよね。それは全然ボカロとは関係ないやつだったんですけど、そこで学園祭の実行委員とやり取りする機会があって、教室を借りるとかの手続きについて詳しくなったんです。
同じような時期にファンメイドライブの情報を漁ってて、「これ自分でも学園祭でファンメイドライブできそうだな」ってなりました。

情報を漁ってたというのはネットでということですよね。
毎年同じ団体として開催してる場合はサークル内で技術継承されるんだろうと想像つくんですけど、新しく立ち上げる時はネットだけでどうにかなるものですか?

あめりんごさん:ネットの情報としてはnoteとかに情報をまとめてくださってるのを参照しました。
ファンメイドライブそのものの情報じゃなくても、MMDとかライブ照明の情報はたくさんあったので助かりました。なのでネットの情報だけでも全然作れると思います。
MAGICA高崎では他に、経験者に質問したり力を借りたりしています。

Bさんは他のいくつかの団体でもライブ制作をお手伝いしてるんですよね。
ファンメイドライブに関わろうと思ったきっかけはありますか?

Bさん:私は本業でライブ制作をしているのですが、お仕事としてライブを作る場合は当然自分のやりたいことが全て通るわけじゃないんです。
その点趣味なら自由なライブが作れるので、ミクが好きだったこともあり手伝い始めたのが最初です。

ファンメイドライブを作るために勉強するパターンと、既に技術を持っている人が制作に参加するパターンがあるんですね。
技術を持ってる人のパターンでいうと、ニコニコなどの動画サイトではMMD動画を投稿しているクリエイターがいますが、そういう人がファンメイドライブに参加することもあるんですか?

あめりんごさん:それはあまり聞かないですね。ファンメイドのMMDと動画のMMDは界隈が別な感じがします。

Bさん:作業としてもちょっと性質が違いますね。ファンメイドの場合はさっき言ったみたいに貫通修正とかですけど、動画のMMDはカメラとかエフェクトの演出をする作業が中心で。

制作にはお金がかかる……!けど入場無料

ぶっちゃけライブ制作にどのくらいお金掛かりましたか?

あめりんごさん:11月の文化祭については大体10万円ぐらいでした。
そのうち半分はスクリーン関係の費用です。

10万……!どのライブもそのぐらい掛かるものなんでしょうか。

Bさん:機材を既に持ってる団体もありますね。あとはメンバーから集金してる団体は潤沢な予算を使えたりします。どこにどれだけお金を掛けるか、力を入れるかは団体によって色々です。

あめりんごさん:3月に向けて今準備しているものは文化祭の数倍の予算をポケットマネーから出す予定です。

す、数十万……!
学生が出すには……というか学生じゃなくても高額ですが、そこまでお金をかけてでも挑戦したい、ライブ制作の魅力にはどのようなものがありますか?

あめりんごさん自分の考えたセトリでできること、まだボカロライブが無い群馬で開催できることですね。
セトリに関しては、マジミラだとクリプトンのキャラしか出ませんが、ファンメイドだとそういう制限はなかったりとか。見せ方や演出も団体ごとに違うので腕の見せどころです。

Bさん:ファンメイドライブって入場料が無料なので、掛かった費用を回収するみたいなことも出来ない。
ファンメイドはお金の掛かる趣味です。

それはミクっていう権利物を使ってるからという事情もあるのでしょうか。
MMDやファンメイド界隈は権利関係をしっかり守っているイメージがあります。

Bさん:そうですね。
実は過去に、権利をクリアにした上で入場料ありのイベントを計画したこともあるんですけど、お金を取るとその分の責任が発生するのも……

あめりんごさん:分かります。ファンメイドライブはみんなの発表会みたいな感じですね。特に学祭ファンメイドはその傾向が強いと思います。

そもそも私がファンメイドライブに興味を持ったきっかけとして、実は私もMAGICA高崎にOP曲の書き下ろしと一部楽曲のミクの調声で関わっています。
ファンメイドライブでオリジナルの曲を制作することはよくあるんですか?

Bさん:結構ありますね。初音ミクファンって何かを作ってることも多くて、そういう人たちが集まってるので、団体内で作ったり外注したりとかしています。

あめりんごさん:今回のOP曲のようなインスト曲は、フリー音源だとしっくりこないことも多いので、自分好みでイベントの雰囲気に合わせたものを作った方が早いっていうのもあります。

MAGICA高崎のアピールポイント!

最後にMAGICA高崎のアピールをお願いします!

あめりんごさん:何より一番の特徴は、群馬での開催であることです。
群馬で本格的なライブをやりたいというところからスタートしたライブです。
他のファンメイドライブでは遠くて足を運べなかった人にも楽しんでもらえたらと思っています。

Bさん:学園祭後の投稿を見ると「3/15」という文字が……!?

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